結論:家族信託の費用は、財産額や専門家への依頼内容によって変わりますが、一般的には「専門家への設計コンサルティング報酬」「公正証書作成費用」「登録免許税(不動産がある場合)」「司法書士報酬(登記手続き)」の4つが主な内訳になります。財産額1,000万円台〜数千万円程度のケースで、総額50万円〜100万円前後になることが多いです
以下、実際の相談事例をもとに、具体的な費用の内訳を見ていきます。
相談事例:自宅と収益アパートを持つ72歳の父親からの相談
ご相談者:父親(72歳)
「家族信託に興味があるのですが、費用がどれくらいかかるのか分からず、二の足を踏んでいます。財産は、自宅(評価額約2,000万円)と、収益アパート1棟(評価額約3,000万円)、預貯金が1,000万円ほどです。長男を受託者にしたいと考えています。」
このケースをもとに、費用の内訳を具体的に見ていきましょう。
Q1. 家族信託にかかる費用には、どんな種類がありますか?
A. 大きく分けて「専門家報酬」「公正証書作成費用」「登録免許税」「登記手続きの司法書士報酬」の4種類です。
| 項目 | 内容 | 費用の目安 |
| 専門家への設計コンサルティング報酬 | 信託契約の内容設計、家族間の調整サポートなど | 信託財産額の1%前後(最低30万円程度〜が多い) |
| 公正証書作成費用(公証人手数料) | 信託契約を公正証書にする際の手数料 | 財産額に応じて3万~5万円程度が多い。 |
| 登録免許税(不動産がある場合) | 信託による所有権移転登記にかかる税金 | 土地:固定資産評価額の0.3%、建物:0.4% |
| 登記手続きの司法書士報酬 | 信託登記の申請代行 | 不動産の数などにより数万円〜十数万円程度 |
Q2. この事例の場合、実際にどのくらいの費用になりますか?
A. 財産額の合計(自宅2,000万円+アパート3,000万円+預貯金1,000万円=6,000万円)をもとに試算すると、総額でおおよそ70万円〜90万円程度になることが多いです。
あくまで一般的な目安ですが、内訳のイメージは次のとおりです。
- 設計コンサルティング報酬:信託財産額(不動産部分の評価額をベースにすることが多い)の1%程度として、おおよそ50万円前後
- 公正証書作成費用:財産額に応じて、数万円〜10万円程度
- 登録免許税:自宅(土地・建物)とアパート(土地・建物)それぞれにかかり、合計で十数万円程度になることが一般的
- 登記手続きの司法書士報酬:不動産が複数あるため、数万円〜10万円程度
専門家によって報酬体系(定額制、財産額に応じた料率制など)は異なるため、事前に複数の見積もりを比較することをおすすめします。
Q3. 費用を抑える方法はありますか?
A. 信託財産の範囲を絞る、契約書の作成を簡素化するなどの方法がありますが、必要な備えを削りすぎないことが大切です。
たとえば、次のような考え方があります。
- 判断能力低下後に特に管理が難しくなる財産(この事例ではアパート)に絞って信託する
- 預貯金は、信託ではなく代理人カードや代理人指名などの銀行独自の制度で対応する
ただし、費用を抑えることだけを優先し、必要な財産が信託の対象から漏れてしまうと、本来の目的(判断能力低下後の財産管理)が果たせなくなる可能性があります。何を信託すべきかは、費用面だけでなく、将来のリスクとあわせて検討することが重要です。
Q4. 家族信託は、成年後見制度に比べて本当に安いのですか?
A. 初期費用は家族信託のほうが高くなる傾向がありますが、長期的に見ると家族信託のほうが総コストを抑えられるケースが多くあります。
成年後見制度(法定後見)は、開始時の申立て費用自体は数万円程度と、家族信託の初期費用より少なく済むことが一般的です。しかし、後見人が専門職の場合、本人が亡くなるまで、毎月または毎年、後見人への報酬が発生し続けます(財産額にもよりますが、月額2万円〜6万円程度が一般的な目安とされています)。
この事例で考えると、72歳の父親が仮にその後20年生きるとした場合、後見制度の専門職報酬だけで、単純計算でも数百万円規模になる可能性があります。一方、家族信託は初期費用こそかかりますが、その後の管理は家族(受託者)が行うため、継続的な報酬は基本的に発生しません(信託監督人を置く場合は、その分の費用が別途かかります)。
Q5. 費用以外に、あらかじめ準備しておくとよいことはありますか?
A. 財産の一覧(不動産の登記事項証明書、預貯金残高など)を整理しておくと、見積もりの精度が上がり、相談もスムーズに進みます。
専門家に相談する際、財産の内容が明確になっているほど、より具体的な費用の見積もりを提示してもらいやすくなります。この事例のように、複数の不動産と預貯金がある場合は、それぞれの評価額(固定資産評価証明書など)を事前に取得しておくとよいでしょう。
この事例から分かる、家族信託の費用を考えるポイント
- 費用は「専門家報酬」「公正証書作成費用」「登録免許税」「司法書士報酬」の4つが基本
- 財産額や不動産の数によって、総額は大きく変わる
- 初期費用だけでなく、成年後見制度と比較した長期的なコストも考慮する
- 費用を抑えたい場合は、信託する財産の範囲を検討するが、必要な備えは削りすぎない
まとめ
- 家族信託の費用は、専門家報酬・公正証書作成費用・登録免許税・司法書士報酬の合計で決まる
- 財産額6,000万円程度のケースでは、総額70万円〜90万円前後が一つの目安
- 初期費用は成年後見制度より高くなりがちだが、長期的には家族信託のほうがコストを抑えられることが多い
- 事前に財産の内容を整理しておくと、より正確な見積もりにつながる
正確な費用は、財産の内容やご家族の状況によって変わります。
家族信託の費用、あなたはどれくらい分かる?
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