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家族信託でできること8つを、相談事例つきで一覧解説

家族信託でできること8つを、相談事例つきで一覧解説

これまでの記事で個別の事例を取り上げてきましたが、今回は「家族信託でできること」を一覧として整理し、それぞれ簡単な事例とあわせてご紹介します。

認知症などで判断能力が低下すると、預貯金の引き出しや不動産の売却が原則としてできなくなります。家族信託を組んでおけば、判断能力が低下した後も、あらかじめ決めた家族(受託者)が財産管理を継続できます。

事例:賃貸アパートを持つ父親が、長男を受託者とする信託を組んでおいたことで、認知症になった後も、長男が入居者対応や修繕、必要であれば売却まで対応できた(第60回で詳しく解説しています)。

成年後見制度では、本人の生活に直接必要のない不動産の処分が認められにくい場合がありますが、家族信託では、あらかじめ契約で定めた範囲内で、受託者の判断により不動産を売却・活用することができます。

事例:「将来、実家を売却して介護施設の費用に充てたい」という希望を、あらかじめ信託契約に盛り込んでおくことで、実際に判断能力が低下した後も、その方針どおりに売却を進めることができた。

遺言では、「自分の財産を誰に渡すか」までは指定できても、「その先、誰に渡すか」までは指定できません。家族信託では、「配偶者の次は長男に、長男の次は孫に」というように、複数世代の承継先をあらかじめ決めておくことができます(詳しくは第59回で解説しています)。

事例:先祖代々の土地を、特定の家系に残していきたいという希望があり、配偶者→長男→孫という承継順序を信託契約であらかじめ指定した。

まとまった財産を一括で渡すのではなく、「毎月〇万円ずつ渡す」というように、生活費を計画的に渡す設計ができます。財産の使い込みや、悪質な勧誘によるトラブルを防ぐ効果が期待できます。

事例:知的障がいのある子や、金銭管理に不安のある子のために、親の死後、受託者が生活費を定期的に渡す仕組みを作った 参照:(障がいのある子のための家族信託、相談事例でわかりやすく解説)

アパート経営など、継続的な管理が必要な財産についても、判断能力の低下や、オーナーの入院・長期不在などがあっても、受託者が管理を続けることができます。入居者募集、契約更新、修繕発注などの実務を止めずに済みます。

信託財産は、受託者自身の財産(固有財産)とは法律上区別して扱われます。そのため、万が一受託者が事業などで負債を抱えて破産するような事態になっても、信託財産はその影響を受けず、保全されます。

信託契約の中で、「委託者の生存中は委託者自身が受益者、死後は指定した人を受益者とする」と定めておくことで、実質的に遺言と同じような機能を持たせることができます。遺言の作成が難しい事情がある場合や、契約という形でより確実に意思を残しておきたい場合に活用されます。

信託契約の内容は、法律の範囲内であれば、かなり自由に設計することができます。「誰を受託者にするか」「どの財産を対象にするか」「どのタイミングで、どのように財産を渡すか」など、画一的な制度にはない、ご家庭ごとのオーダーメイドの設計が可能です。

A. はい、多くの場合、複数の目的を1つの信託契約の中に組み込むことができます。

たとえば、「認知症対策として財産管理を継続しつつ、自分の死後は配偶者、その後は子へと承継させ、子が心配なので生活費は定期的に渡す形にする」というように、複数の目的を組み合わせた設計も可能です。ご家庭の状況やご希望を丁寧にお伺いしながら、最適な組み合わせを一緒に考えていきます。

  • 家族信託でできることは、大きく「判断能力低下後の財産管理の継続」「不動産の柔軟な活用・処分」「複数世代への資産承継」「生活費の計画的な受け渡し」に集約される
  • そのほか、収益不動産の管理継続、倒産隔離機能による財産保全、遺言代用機能なども活用できる
  • 契約内容は法律の範囲内で自由に設計でき、複数の目的を組み合わせることも可能

次回は「家族信託でできないこと」について、逆の視点から整理します。「何でもできる魔法の制度」ではない部分も正しく理解しておくことが、後悔しない設計につながります。

3問クイズ

家族信託でできること、あなたはどれくらい分かる?

記事の内容から3問出題します。全部解けるかチャレンジしてみましょう。

解説

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