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共有名義の不動産、将来トラブルになりやすいパターン

共有名義の不動産、将来トラブルになりやすいパターン

相続や夫婦での購入をきっかけに、不動産を複数人の共有名義にするケースは少なくありません。「とりあえず今は共有にしておこう」「揉めるのも面倒だから、法定相続分どおり全員の名義にしておこう」という判断は、その時点では自然な選択に見えます。

しかし、共有名義の不動産は、時間が経つほど管理や処分が難しくなりやすいという特徴があります。今回は、共有名義がどのようなパターンで将来のトラブルにつながりやすいのかを解説します。

不動産を共有すると、その不動産に関する重要な決定は、共有者全員、あるいは持分の過半数の同意が必要になります。

  • 売却する:共有者全員の同意が必要
  • 大規模なリフォームをする:共有者全員の同意が必要
  • 賃貸に出す:共有者の持分の過半数の同意が必要
  • 修繕など、現状を維持する行為(保存行為):各共有者が単独でできる

つまり、共有者の人数が増えるほど、あるいは共有者同士の関係が疎遠になるほど、「全員の意思をそろえる」というハードル自体が高くなっていきます。

共有名義のまま名義変更(相続登記)をせずに放置していると、共有者の一人が亡くなった際、その持分がさらにその方の相続人へと分かれていきます。これを繰り返すと、当初は兄弟3人の共有だったものが、数十年後には、面識のないいとこ・またいとこを含む十数人の共有になっている、というケースも実際にあります。

共有者が増えるほど、

  • 全員の同意を取り付けること自体が困難になる
  • 連絡先が分からない共有者(親戚だがあったことがない人)が出てくる
  • 一部の共有者と連絡が取れず、売却も活用もできないまま放置される

という状態に陥りやすくなります。

共有名義の実家に、共有者のうち一人だけが住み続けているケースもよくあります。この場合、次のような不満が生じやすくなります。

  • 住んでいない共有者から見ると「固定資産税は皆で払っているのに、実際に使っているのは一人だけ」という不公平感が生まれる
  • 住んでいる共有者から見ると「自分が管理も修繕も担っているのに、他の共有者は何もしていない」という不満が生まれる

住んでいない共有者が「家賃相当額を払ってほしい」と主張したり、逆に住んでいる共有者が「自分が管理費用を負担しているのだから、持分を多めに評価してほしい」と主張したりと、感情的な対立に発展しやすい典型的なパターンです。

共有者の中で、「そろそろ売却して現金化したい」という方と、「思い出のある実家だから残しておきたい」という方に意見が分かれることもあります。

不動産の売却には共有者全員の同意が必要なため、一人でも反対すれば売却は進められません。結果として、「売りたいのに売れない」「使いたくても他の共有者の意向が分からず動けない」という膠着状態が続いてしまうことがあります。

各共有者は、自分の持分だけであれば、他の共有者の同意なく自由に売却することができます。そのため、共有者の一人が、事情により自分の持分だけを不動産会社や第三者に売却してしまうことがあります。

この場合、それまで家族間だけだった共有関係に、見ず知らずの第三者が加わることになります。持分だけを買い取った第三者から、残りの共有者に対して「持分を買い取らせてほしい」「逆に自分の持分を買い取ってほしい」といった交渉が持ちかけられ、思わぬトラブルに発展するケースもあります。

共有者の一人が高齢になり、認知症などによって判断能力が低下すると、その方の同意を得ることが法的に難しくなります。不動産の売却や大規模な変更には、原則として本人の意思確認が必要になるため、判断能力を失った共有者がいる場合、成年後見制度を利用して後見人を選任しない限り、手続きを進められなくなることがあります。

後見人の選任には家庭裁判所の手続きが必要で、時間も費用もかかるため、「売りたいときにすぐ売れない」という事態につながります。

共有名義そのものが常に悪いわけではありませんが、次のような対策を取ることで、将来のトラブルを減らすことができます。

  • 早めに単独名義への変更や持分の整理を検討する:代償分割(一人が不動産を取得し、他の共有者に金銭を支払う)や、共有物分割協議などの方法があります
  • 共有者間で、利用ルールや将来の方針について話し合い、書面に残しておく:誰がどのように利用するか、将来売却する場合の条件などを取り決めておくと、後の紛争予防になります
  • 相続が発生した際は、その都度きちんと遺産分割を行い、共有者を増やさない:先送りにせず、その世代のうちに整理しておくことが重要です
  • 判断能力の低下に備え、家族信託や任意後見といった制度をあらかじめ検討しておく:将来、共有者の一人が判断能力を失った場合に備えることができます
  • 共有名義の不動産は、重要な決定に共有者全員(または持分の過半数)の同意が必要になる
  • 相続のたびに共有者が増え、意思統一が難しくなっていく
  • 利用状況の偏り、売却意向の違い、持分の第三者売却、判断能力の低下など、さまざまな要因でトラブルに発展しやすい
  • 早めに単独名義化や持分整理を検討することが、将来のトラブル予防につながる

「今は家族間で問題ないから」と共有名義のままにしている不動産がある方も、将来を見据えて一度整理を検討してみてはいかがでしょうか。

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解説

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