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家族信託の失敗例7選、相談事例から学ぶ注意点

家族信託の失敗例7選、相談事例から学ぶ注意点

これまでの記事でお伝えしてきた内容とも重なりますが、今回は「実際に起きやすい失敗」という切り口で、注意すべきポイントを整理します。

相談内容:「信託していたアパートで、大規模修繕により大きな赤字が出た年があったのですが、確定申告の際、税理士から『信託不動産の赤字は他の所得と損益通算できません』と言われ、驚きました。」

何が問題だったか:税務上、信託した不動産から生じた所得計算上の損失は、信託していない他の不動産所得や給与所得などと損益通算できず、その損失を翌年以降に繰り越すこともできないという特別なルールがあります。これは家族信託特有の税務上の大きな注意点で、意外と見落とされがちです。

教訓:大規模修繕の予定がある不動産や、赤字が出やすい不動産を信託に組み込む場合は、事前に税理士へ相談し、税務上の影響を確認しておくことが重要です。

相談内容:「長男を受託者にして信託を組んでいたのですが、長男が病気で急に亡くなってしまいました。次に誰が受託者になるのか、契約書に決めていなかったため、家族で慌てて対応することになりました。」

何が問題だったか:信託契約の中で、受託者が亡くなった場合や、受託者自身が認知症などで管理を続けられなくなった場合に備えて、「次の受託者(第二受託者)」を定めておかなかったことが原因です。受託者が不在のまま一定期間が経過すると、信託そのものが終了してしまうリスクもあります。

教訓:信託契約を設計する際は、当初の受託者だけでなく、その方に何かあった場合の「予備の受託者」もあわせて定めておくことが欠かせません。

相談内容:「長男に多くの財産を承継させる内容の信託を組んだのですが、実際に父が亡くなった後、他のきょうだいから『納得できない』と反発され、遺留分侵害額請求を受けることになりました。」

何が問題だったか:家族信託を使えば、特定の家族に多くの財産を承継させることができますが、他の相続人の遺留分(法律上最低限保障された取り分)まで無視できるわけではありません。信託の設計段階で、他の相続人の遺留分に配慮していなかったことが、トラブルの原因になりました。

教訓:特定の相続人に財産を集中させる設計をする場合ほど、他の相続人の遺留分をどう扱うか、専門家を交えて慎重に検討する必要があります。

相談内容:「信託契約の公正証書を作成した後、近所の銀行に信託口口座の開設を依頼したところ、『当行では取り扱っていません』と断られてしまいました。結局、対応している銀行を探すのに時間がかかりました。」

何が問題だったか:信託口口座は、すべての金融機関が対応しているわけではありません(前回で詳しく解説しています)。契約内容を固める前に、実際に口座を開設できる金融機関を確認していなかったことが、手続きの遅れにつながりました。

教訓:信託契約の設計段階から、口座開設先の金融機関のめどを立てておくことが大切です。

相談内容:「次男を受託者とする信託を、次男と父だけで進めてしまいました。後から知った長男が『自分に相談がなかった』と不満を持ち、家族関係がぎくしゃくしてしまいました。」

何が問題だったか:家族信託は、委託者と受託者だけの合意で契約自体は成立させられますが、他の家族の理解を得ずに進めると、後から大きな不信感を招くことがあります。信託の内容そのものよりも、「事前に説明がなかったこと」自体が問題になるケースは少なくありません。

教訓:契約を進める前に、関係する家族全員に趣旨を説明し、納得を得ておくプロセス(家族会議)を省略しないことが重要です。

相談内容:「アパートは信託していたので安心していたのですが、父が認知症になった後、信託していなかった自宅や預貯金の管理ができず、結局、成年後見制度を利用することになりました。」

何が問題だったか:家族信託の対象になるのは、信託契約で指定した財産だけです。信託に含めなかった財産については、判断能力が低下した後、これまでどおり誰も動かせなくなってしまいます(「家族信託でできないこと」の回で詳しく解説しています)。

教訓:「何を信託し、何を信託しないか」を検討する際は、信託しない財産についても、遺言や任意後見など、別の方法での備えをあわせて検討する必要があります。

相談内容:「住宅ローンの残る収益物件を信託しようとしたところ、金融機関から『事前の承諾なく信託することは契約違反にあたる可能性がある』と指摘され、手続きが止まってしまいました。」

何が問題だったか:住宅ローンや不動産投資ローンが残っている不動産を信託する場合、多くの金融機関では、事前の承諾を必要としています。金融機関に相談せずに信託の手続きを進めようとしたことが、トラブルの原因になりました。

教訓:ローンの残る不動産を信託する場合は、必ず事前に融資を受けている金融機関に相談し、承諾を得たうえで手続きを進める必要があります。

  • 税務上の特有のルール(損益通算の制限など)は、税理士と連携して事前に確認する
  • 受託者に何かあった場合に備えて、予備の受託者もあらかじめ定めておく
  • 特定の相続人に財産を集中させる設計では、他の相続人の遺留分に配慮する
  • 信託口口座を開設できる金融機関を、契約前に確認しておく
  • 契約を進める前に、関係する家族全員へ丁寧に説明し、納得を得ておく
  • 信託しない財産についても、別の方法での備えをあわせて検討する
  • 借入のある不動産を信託する場合は、事前に金融機関の承諾を得る
  • 家族信託の失敗の多くは、事前の確認や準備を丁寧に行うことで防げる
  • 特に税務上の見落とし、受託者の将来への備え不足は、専門的な知識がないと気づきにくい
  • 家族間の合意形成を省略しないことが、後々のトラブル防止に直結する
  • 「信託すること」自体が目的化せず、全体の財産管理・承継の設計の一部として捉えることが大切

家族信託は、正しく設計すれば非常に有効な制度ですが、思わぬ落とし穴もあります。

3問クイズ

家族信託の失敗例、あなたはどれくらい分かる?

記事の内容から3問出題します。全部解けるかチャレンジしてみましょう。

解説

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