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障がいのある子のための家族信託、相談事例でわかりやすく解説

障がいのある子のための家族信託、相談事例でわかりやすく解説

以下、実際によくいただく相談内容をもとに、具体的にどのような設計ができるのかを解説します。

ご相談者:母親(68)

「長女(40歳)には知的障がいがあり、私が身の回りの世話や金銭管理をしています。私が元気なうちはいいのですが、自分が亡くなった後、長女の生活費をどう管理すればいいのか、ずっと不安に思っています。長女に直接お金を残しても、自分で管理するのは難しいですし、悪徳業者に狙われないかも心配です。長男(42歳)はいますが、長男自身も忙しく、長女の面倒までしっかり見られるか分かりません。」

このような「親亡き後」の不安は、障がいのあるお子さんを持つ多くのご家庭に共通する悩みです。以下、この事例に沿って解説します。

A. 相続財産としてそのまま長女のものになりますが、その後の管理を誰が担うかが定まっておらず、生活が不安定になるリスクがあります。

長女が相続によってまとまった財産を受け取っても、判断能力に不安がある場合、その財産を自分自身で適切に管理することは難しいことが多いです。悪質な訪問販売や詐欺的な勧誘に遭い、財産を失ってしまうリスクも否定できません。

このような場合、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任する方法もありますが、後見人が必ずしも家族になるとは限らず、選任までには一定の時間もかかります。母親が亡くなった直後から、切れ目なく長女の生活を支える仕組みとしては、不十分な面があります。

A. 母親が元気なうちに、信頼できる人(この事例では長男や親族)を受託者とする信託契約を結び、「母親が亡くなったら、長女を受益者として生活費等を渡す」という内容を、あらかじめ定めておくことができます。

この事例であれば、次のような設計が考えられます。

  1. 母親を委託者、長男(または他の信頼できる親族)を受託者として、生前に信託契約を結ぶ
  2. 契約の中で、「母親の生存中は母親自身が受益者、母親の死後は長女を受益者とする」旨を定める(遺言代用信託)
  3. 母親の死後、受託者が長女のために、毎月の生活費や必要な支払いを、決められたルールに沿って渡していく
  4. 長女が亡くなった際、信託財産に残りがあれば、その承継先(たとえば他の親族や福祉団体など)もあらかじめ指定しておく

この仕組みにより、母親が亡くなった直後から、間を空けずに長女の生活費の管理が引き継がれます。まとまった財産を一括で長女に渡すのではなく、必要な分だけを定期的に渡す設計にできるため、財産を使い込んでしまうリスクや、悪徳業者に狙われるリスクを抑えることができます。

A. 「信託監督人」を選任し、受託者を監督してもらう仕組みを組み込むことができます。

受託者(この事例では長男)がすべてを一人で背負う必要はありません。信託契約の中で、司法書士など専門家を「信託監督人」として選任しておけば、受託者が適切に信託事務を行っているかをチェックしてもらうことができます。

これにより、受託者の負担や不安を軽減しながら、長女の財産が確実に、目的に沿って使われる体制を作ることができます。受託者になる家族がいない、または家族だけでは不安があるという場合には、信託銀行等の法人を受託者にする方法(商事信託)を検討することもあります。

A. 「特定贈与信託」は税制上の優遇がある一方、財産管理の柔軟性は家族信託のほうが高いという違いがあります。

障がいのある方のための信託としては、信託銀行等が扱う「特定贈与信託(特別障害者扶養信託)」という制度もあります。これは、一定の要件を満たす障がいのある方を受益者とすることで、信託する財産のうち一定額(重度の障がいの場合は6,000万円、それ以外の場合は3,000万円が上限の目安)までが贈与税非課税になる制度です。

一方で、特定贈与信託は信託銀行等の金融機関が受託者となるため、

  • 生活費の支払いなど、決められた範囲での定型的な管理が中心になる
  • 不動産などを信託財産に含めることは難しい場合がある
  • 個別の事情に応じた柔軟な設計がしにくい

といった特徴があります。これに対して家族信託は、家族が受託者となるため、その分手続きや管理の負担はありますが、財産の種類や渡し方について、よりきめ細かく、ご家庭の事情に合わせた設計ができます。財産の内容や金額によっては、両方の制度を組み合わせて検討することもあります。

A. 身上監護(施設入所契約や医療同意など)が必要な場合は、成年後見制度とあわせて検討することになります。

家族信託は財産管理の仕組みであり、介護や医療に関する契約行為(身上監護)には対応できません。長女に身上監護が必要な場面が見込まれる場合は、家族信託による財産管理と、成年後見制度(法定後見)による身上監護を組み合わせて活用することが一般的です。

  • 「親が亡くなった直後から、間を空けずに支援を引き継げる」ことが最大のメリット
  • まとまった財産を一括で渡すのではなく、必要な分だけを定期的に渡す設計ができる
  • 受託者の負担が心配な場合は、信託監督人を組み合わせることでカバーできる
  • 特定贈与信託(税制優遇)との違いを理解し、財産の内容に応じて使い分ける、または併用する
  • 身上監護が必要な場合は、成年後見制度とあわせて検討する
  • 障がいのあるお子さんの「親亡き後」の不安は、家族信託(遺言代用信託)であらかじめ備えることができる
  • 生活費を定期的に渡す設計にすることで、財産の使い込みや悪徳業者被害のリスクを抑えられる
  • 受託者の負担が心配な場合は、信託監督人の活用も検討できる
  • 信託銀行の特定贈与信託(税制優遇あり)との違いを理解し、必要に応じて併用も検討する
  • 身上監護が必要な場合は、成年後見制度と組み合わせる
3問クイズ

障がいのある子のための家族信託、あなたはどれくらい分かる?

記事の内容から3問出題します。全部解けるかチャレンジしてみましょう。

解説

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